消えたファクターX
東京五輪の開催と時期を同じくして新型コロナウイルスの新規感染者数が激増しています。確か去年最初に感染が確認されたあと、日本も欧米と同じく、すぐに感染爆発を起こすと言われていましたが、予測に反し感染者数はそれほど増えることなく、ある程度抑えられていたことから、日本には欧米にない何らかの要因「ファクターX」が影響していると言われていました。ファクターXについては様々な説がささやかれていましたが、私は日本人の気質が作り出した「空気」こそがこのファクターXだったのではないかと思います。日本人は良くも悪くもまじめな民族で、おかみの言うことをよく聞きます。法的強制力が無くても緊急事態宣言による行動自粛が要請されれば、率先して従い、マスク着用を求められれば、ほぼ全ての人が実行するなど、そこにはおかみに従わなければいけないという「空気」がありました。この「空気」こそがファクターXだったのではないかと思うのです。ところが東京五輪の開催により、この「空気」が吹き飛んでしまったのではないかと思うのです。いくらおかみが「緊急事態だ、自粛しろ」などと言ったところで、五輪開催はこれとは真逆のメッセージとして国民に伝わっていたのではないかと思います。実際、ノーマスクで密になって大騒ぎしている人々や路上飲みで盛り上がっている映像を目にすることが多々ありました。去年では考えられなかった光景です。さらに感染力が従来型の数倍も高いと言われるデルタ株への置き換りもあいまって、今までにない感染爆発を起こしているのではないかと思います。